営業は楽しい

 <営業は自分の中から始まる>

営業を語る前に”生きる”ことを整理することは大切な要素になります。
そこで最も重要なことは、世界の中にまず自分がいるという意識を持つことです。
そしてまわりにみんながいて社会が広がっています。
この社会のなかで、自分は自分の人生という時間を使って仕事をしています。

仕事をしているということは、自分がいることによって始まっているのです。
この変化していく時間の中で、自分がどう変わって、どうなっていくかは自分の意思しだいです。

もちろん、自分の人生時間と同時代を生きている人たちのことを考えると、社会秩序を無視した独りよがりの行動が許されるわけではありません。
しかし、社会の中で自分の人生をどう生きるかを追求することは自由です。

これは営業職という仕事を選ぶことにも通じます。
その際”どういう営業職になりたいか?”をイメージすることが重要な要素となるのです。

それも自分の所属する営業部の先輩や仲間の営業行動、営業姿勢、営業成果を見ることによって具体的に強くイメージすることです

例えば切り口として…

  • 1. 自分の強み弱みを整理する

    2. 戦略エリアを設定し、ターゲットを絞り込む

    3. アポイントの取り方

    4. 飛込でのインターフォンの訪問トーク

    5. アポイント企業を訪問する際の事前準備、情報収集の内容

    6. 自社パンフレットの説明の仕方

    7. 提案企画書の内容や作成手法

    8. プレゼンテーションのやり方

    9. 営業交渉の進め方とセールストーク

    10. オーダー獲得のクロージング手法

    11. 商談成立後のクライアントフォロー

    12. 既存企業の深耕開拓手法

    13. 組織内での人間関係

などについて、自分の求めるベストプラクティス(理想行動)を強くイメージするのです。

これによって、どういう営業職になりたいかを意識、イメージして、これからどういう能力を身につけなければならないかにつなげるのです。

そしてその能力を身につけ、経験の幅を広げることによって、よりレベルアップした環境適応能力、状況対応能力を開発し、営業職としての進化をはかるのです。

このように営業職を進化させたいなら、まず”どんな営業職になりたいのか”の強いイメージをはっきりとあぶり出し、その実現に向けて取り組むことを楽しむのです。
この楽しむという遊びの中に、進化をスピードアップさせる秘密が隠されています。

<営業力は準備力だ>

営業活動を成約へ結びつけるための事前準備は、営業活動全体の60%をしめるといわれています。

しかし一般的に営業担当者は、これほどの比率をしめる事前準備を重要ととらえていません。
なぜならば毎日の営業活動は、毎日の繰り返し、昨日からの延長ととらえているからです。
毎日の営業に取り立てて準備という時間を入れないのです。

社会、マーケットは生きています、大きく動いています。
そこで何かくさびを打ち込まなければ、社会の変化、トレンドからおきざりにされるだけです。
まさに毎日の営業が無為な時間の延長になりかねないのです。

そこで営業の出発点に立ち返りましょう。
営業の出発点は”何をするためにどうしたいのか?”というビジョンを持つことから始まります。

営業はなぜ、いつ、どこで、だれが、何のためにどうするのかを設定することからスタートします。
そして、営業はお客様にサービスを提供し、お客様を喜ばし満足を与えるのです。
このことから営業力は準備力だと言っても過言ではありません。

そのために事前準備はビジョンを持ち、目的達成に向けどう行動するかを緻密に計画します。
営業計画は、時間軸をベースに数値目標となる売上、利益予算を設定し、これを達成するための作戦、仮説シナリオをつくります。

具体的には、ターゲットエリア、ターゲット企業(個人)の設定、これを攻略するための手順、営業手法を作成して、それを実行するために組織編成に着手します。

<試し営業で仮説作戦の有効性を検証>

この段階のポイントは2点です。
準備が完了してもすぐに作戦を全営業部隊に導入しない事と試し営業の実践を、外部営業部隊にやらせることです。
この方法をとることによって、客観的に仮説作戦(セールスモデル)の有効性を検証するのです。
P・F・ドラッガー(1909~2005年)が『明日を支配するもの』(ダイヤモンド社)で「現実に勝る調査、研究などありえない。新しいものはすべて小規模に調査する必要がある」と言っています。

さらにテストマーケティングは外部機関を使うことをすすめています。
試し営業の実施によって、仮設作戦の問題点をあぶり出し、再検討することによって有効作戦に再構築するのです。

アメリカのマーケティング学者、フィリップ・コトラー(1931年~)はプレジデント(プレジデント社)という雑誌のインタビューで「優れたマーケティングは、新しく秀逸なアイデアを生み出す力と、ビッグデーターの分析から最初のトレンドやセグメントを探知する力を土台としている」といっています。

コトラーはアイデアとデーターにもとづいたトレンドと絞込みによって仮説作戦を立案しろという。
ドラッガーはこの仮説にもとづいて試し営業をやることによって有効作戦を導き出すことができるという。

この二人の考えを統合すると次のようなステップが浮かび上がってきます。

<ステップⅠ>
営業スキル×商品知識×アイデア×トレンド絞込み=仮説作戦

<ステップⅡ>
仮説作戦×試し営業=有効作戦

有効作戦の全営業部隊への導入は、このステップⅡの後です。
検証された有効作戦は、営業部隊に作戦に対する確信を生みます。
このマインドは営業パワーの集中化に直接反映します。
営業は科学であると同時に、マインドゲームでもあります。

<ステップⅢ>
有効作戦×マインドパワー=最大成果


最大成果は営業部隊の規模、量的パワーに比例します。
もちろん、小規模営業部隊であっても十分な成果を生み出しますが、大規模営業部隊であれば圧倒的なパワーを発揮します。

まさに”虎に翼(強い者にさらに強い力が加わる)”になってしまい、一気にマーケットを席巻します。

2017年03月07日